日高敏隆先生がたずさわられた本 1
「助けあう生物たち」少年図書館選書9、八杉龍一・日高敏隆著 1953年
(金子書房、1953.5.30 初版発行、B6判、222p)
表紙と裏表紙(そうてい・藤橋正枝) |
『この本は、わたくしと日高敏隆さんとが助けあってかいたものです。日高さんは、ひじょうな努力をそそいでくれました。ただ、二人でかいたためにばらばらなところができて、みなさんがよむのにこまるといけないから、わたくしがぜんたいを整理して文章をととのえました。』(昭和二十八年五月 八杉竜一「はじめに」より引用)
『この本をわたくしといっしょにかいた日高敏隆さんは、昭和二十七年に東京大学を卒業して大学院でべんきょうしている若い動物学者ですが、大学にはいるまえからねっしんにこん虫の研究をしていました。これからも研究をつづけながら、みなさんのためになる本をかいてくれるでしょう。』(八杉竜一「わたくし」より引用)
八杉先生41歳、日高先生が23歳のときに発行されたこの本には、さまざまな生物たちの間の関係、アリとアブラムシ、アリとクロシジミのイモムシ、豆と根粒菌、けものたちの群れ、鳥の群れ、アリやミツバチの社会、花と昆虫、裸子植物と被子植物、イネとニカメイガ、食虫植物、寄生虫、地衣類、ヤドカリとイソギンチャク、植物のおかげでいきのできる動物、食物の連鎖、細菌による分解など...が、それぞれにつながりあってわかりやすく書かれています。
この本が出たとき私はまだ生まれていませんでしたが、このとき八杉先生が書かれているように、日高先生は研究をつづけながら、多くの人に読まれた本を、そしてこれからも読まれる本をたくさん書いて残されました。(2011.3.19. Yo )
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