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生命大躍進ー脊椎動物のたどった道ー       -2016年4月15日-
Leaps in Evolution -Tracing the Path of Vertebrate Evolution-


 大阪市立自然史博物館の特別展「生命大躍進ー脊椎動物のたどった道ー」(4/16〜6/19、
中学生以下無料!)
(大阪市立自然史博物館、NHK大阪放送局、NHKプラネット近畿主催)のブロガー招待に応募して内覧会を取材しました。昨夏に東京の国立科学博物館で開催されると聞いてから、大阪にやってくるのを心待ちにしていた展でした。

カンブリア紀のバージェス頁岩動物群


 なによりもうれしかったのは、カンブリア紀のカンブリア大爆発と呼ばれるバージェス頁岩動物群(約5億800万年前のカンブリア紀中期)の実物化石をこの目でみることができたことです。
 昔読んだスティーヴン・ジェイ・グールドの「ワンダフル・ライフ」(早川書房,1993、原作は1989)という本が分厚いながら、実際の姿形を追求していく過程がおもしろく一気に読めてとても印象に残っていました。グールドの京都国際会議場での一般講演会(The pathway and pattern in the evolution of life.1993/5/16)を聞きにも行きました。

 展では、本にでてきたアノマロカリス Anomalocaris canadensis、ピカイア、オパビニア、ウィワクシア、ハルキゲニアといった記憶にある名前の実物化石がすべて並んでいました(研究者間の信頼のもとに、カナダのロイヤル・オンタリオ博物館から貸し出されたようです)。知らなかった(覚えていなかった)生き物もいっぱいでした。実物化石には繊細な微細構造があり、これを調べているのかと驚きました。


アノマロカリスの復元模型 (突出した複眼にも注目)

 しかも、中国産のアノマロカリス Anomalocaris saron やハルキゲニア(カンブリア紀前期のチェンジャン生物群)、南オーストラリア産のアノマロカリス Anomalocaris sp. (約5億1500万年前のカンブリア紀中期のカンガルー島の化石群)の実物化石がなにげなく?展示されていて驚きました。カナダのバージェス頁岩での発見の後、世界各地から類似の化石群が見つかっていることははじめて知りました。

 カンブリア紀中期の原始的な脊索動物のピカイア Pikaia gracilens は、ヒトの祖先にあたるらしい...。今いる原索動物のナメクジウオは、ピカイアの系統から2つにわかれた1つの系統で、もう1つの系統がヒトまでつながっているらしい...。


ピカイアの実物化石(カナダ, ロイヤル・オンタリオ博物館所蔵)

ハイコウイクティスの化石(中国,雲南省産) のレプリカ(蒲郡市生命の海科学館所蔵)

 しかも、カンブリア紀前期のチェンジャン生物群のハイコウイクティス Haikouichthys ercaicunensis の説明には、脊索動物ではなくてよりヒトに近づいて、脊椎動物と書かれています。
 解説書を見ると、「ピカイア(脊索動物)などに類似した、短い筋肉が節状に連なった胴体をもつが眼や感覚器のある軟骨性の「頭骨」をもち、鰓らしい器官の構造などから、脊椎動物とされ、現在知られている最も古い脊椎動物と考えられている。生殖巣や消化管が見える標本を含めて500個体を超える標本が収集されている。...(山田格)」そうです。
 ハイコウイクティスもヒトの祖先にあたり、ピカイアの系統からハイコウイクティスを通って、ヒトまでつながっているらしい...。

 チェンジャン生物群のハイコウエラ(Haikouella lanceolata)の実物化石もあって、これも脊索動物ではないかと考えられているそうです。バージェス頁岩動物群よりもより古い年代のチェンジャン生物群は、1984年に発見され、ときには化石が立体的に保存されていることもあるそうで、これから研究が進むといろいろとおもしろそうです。

 遠い昔の学生時代に、地学専攻の学生向けの山際延夫先生の古生物学を受講させてもらい、フズリナの進化をたどり、夏休み?には岐阜県大垣市赤坂までフズリナの化石をとりに行きました。帰ってから石をダイアモンドカッター(円盤1枚をこわしたら1万円とか言われながら)で切って、きれいな正中断面がでるまで砥石で磨いて、スライドグラスにはりつけてもう片方の面を砥石で磨いてできるだけ薄くして、カバーグラスをはりつけてプレパラート標本にしたことを、思い出しました。実習の化石は失敗してもよかったけれど、貴重な標本の化石はどうやって調べるのでしょうか? 


 カンブリア紀の化石の動物たちは次のオルドビス紀にどうしていたのでしょうか? オルドビス紀末に最初の大量絶滅があり、海洋に生息する全生物種の85%が絶滅したそうです。しかし、解説書のコラム(重田康成)にのっている、科の数の増減グラフ(Paup and Sepkoski, 1984を基に改作)を見ると、カンブリア紀からオルドビス紀になって倍以上になった科の数は、大量絶滅事件では20%くらいしか減っていません。それぞれの分類群(科)から少しずつ生き残った生物がいたということでしょうか? 興味はつきません。

 およそ40億年前といわれる生命誕生から35億年して、カンブリア大爆発があり脊椎動物を含む大きな分類群の生物がすべて現れたと考えられていて、この時点で生命の歴史の大半は過ぎました...。

 しかし、この後の5億年間に環境変動による5回の大量絶滅を経て、脊椎動物→ほ乳類→霊長類→私達ヒトが進化したと考えられていて、それをたどるのが、今回の展の主流です。

 化石ばかり見ていると、上の方に示された進化の流れ(たとえば途中にある赤い絶滅のゲートなど)に目がいかないので、ときどきは上を向いた方がいいようです。4Kの美しい映像も楽しめます。

=約4億4000万年前、オルドビス紀末の大量絶滅=



魚類が繁栄したデボン紀後期のダンクルオステウスDunkleosteus terrelliとシルル紀後期のウミサソリAcutiramus macrophthalmus(体長2.2m、ウミサソリはデボン紀後期に最盛期)の復元模型

=約3億7000万年前、デボン紀後期の大量絶滅=



ペルム紀前期の単弓類(ほ乳類の祖先)ディメトロドンDimetrodon limbatusの復元模型(アメリカ、テキサス州産)

=約2億5000万年前、ペルム紀末の大量絶滅=



三畳紀前期の単弓類:バウリアBauria cynopsの頭骨・下顎骨、トリナクソドンTrinaxodon sp.のほぼ全身骨格、キノグナトゥスCynognathus crateronotusの頭骨・下顎骨(すべて南アフリカ共和国産)

=約2億年前、三畳紀末の大量絶滅=



恐竜時代ジュラ紀にいた、ほ乳類のジュラマイアJuramaia sinensis の復元模型

=約6500万年前、白亜紀末の大量絶滅=


霊長類のダーウィニウス・マシラエ Darwinius masillae(始新世、4700万年前)のタイプ標本(2009年に論文掲載)

目があってしまった、ネアンデルタール人 Homo neanderthalensis(更新世、6万年前)の復元模型

大阪市立自然史博物館の特別展「生命大躍進ー脊椎動物のたどった道ー」
(4/16〜6/19、中学生以下無料!)
(大阪市立自然史博物館、NHK大阪放送局、NHKプラネット近畿主催)


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