topics

              -2015年9月5日-
 エピオルニス Aepyornis sp. の卵
  (エピオルニス目 エピオルニス科)


エピオルニスの卵の化石標本(近年、林原自然科学博物館より移管され倉敷市立自然史博物館が所蔵)

 大阪市立自然史博物館第46回特別展「たまごとたね〜いのちのはじまりと不思議〜」 (7/18〜10/18)で、エピオルニスの卵の追加展示があるというので、見に行ってきました。といっても、エピオルニスという鳥も、2,3百年前に絶滅した歴史上最大の鳥の卵ということも、それまで全く知りませんでした。

 絶滅した鳥の卵の化石と聞いて、石の塊をつなぎあわせた重いものを想像しましたが、この化石標本は、土の上や中にたくさん散らばっていた卵殻(厚さ3~4mm)の断片を継ぎ合わせて立体ジグソーパズルのように再構築されたものだそうで、中身は空でとても軽いものなのだそうです。地質学では、完全に石化していなくても土から出た過去の生物の体または生活の痕(あと)が保存されていれば化石(fossil)と呼ぶそうです(「化石とは何か」:第42回特別展「大化石展」のWeb Page参照)。丸のままのエピオルニスのタマゴの化石も、その生息地だったマダガスカル島の湿地から掘り出されているようです。


ダチョウ目5種の鳥の卵:  左から、レア・ヒクイドリ・エミュー・ダチョウ・モアの卵

左からダチョウ・ヒクイドリ・エミューの骨格、  レア・ヒクイドリ・エミュー・ダチョウ・モア・エピオルニスの卵

 17世紀までマダガスカル島にのみ生息していたエピオルニスの卵(長径約34cm,重さ9kg)がどれだけ大きいかというと、上の写真の右端の卵がそれなので、左側のケースに並べられた大きいと言われるダチョウ目5種の鳥の卵(左の小さい方から、レア Rhea americana(レア科)の卵、ヒクイドリ Casuarius casuarius(ヒクイドリ科)の卵、エミュー Dromaius novaehollandiae(ヒクイドリ科)の卵、ダチョウ Struthio camelus(ダチョウ科)の卵(長径約18cm,重さ約2kg)、絶滅したモア Dinornis sp.(モア科)の卵)と比べても飛び抜けて大きいことがわかります。

 以上の鳥はみな、ダチョウに似た重くて飛べない鳥ですが、"オオダチョウ"であるエピオルニスの大きさは、頭頂までの高さ3m以上で体重は推定400~500kgもあり、ダチョウ(大きい個体で体重は135kg)を大きく上回っていたらしいです。英語でElephant Bird(象鳥)と呼ばれるというのもうなずけます。上野動物園には、実物大の像があるそうなので見てみたいものです。


ニュージーランドに生息する飛べない鳥、キーウィ Apteryx mantelli (キーウィ目 キーウィ科)の
剥製(左上)、全身骨格(右上)、卵(下)

 ダチョウに似た飛べない鳥でありながら、ニワトリくらいの小さな鳥であるキーウィはあらゆる鳥の中で体の割に最も大きな卵(約0.4kg)を産むそうで、大きな卵をひとつ産むとは聞いて知っていましたが、今回実物を見ることができました。お腹の中に硬い卵がはいっているわけではないのでしょうが?、体重の4分の1の重さの大きな卵をよく産むことができると感心します。キーウィは、大型走鳥類とは違って体が小さくても、大きな卵をお腹の中に抱える体形を同じように(それ以上に)持っているようです。

 ダチョウやキーウィの全身骨格を見ているだけでも、とってもおもしろかったです。


キーウィ Apteryx mantelli (キーウィ目 キーウィ科)の全身骨格
(剥製標本とともに大阪市立自然史博物館所蔵)


ダチョウ Struthio camelus(ダチョウ目 ダチョウ科)の全身骨格
(大阪市立自然史博物館所蔵)

 大阪市立自然史博物館第46回特別展 (7/18〜10/18)
たまごとたね〜いのちのはじまりと不思議〜は、
「たまご」の中の「鳥のたまご」だけに限っても、いろんな鳥の剥製・卵がいっぱい集められていて、とても盛りだくさんな内容の展示でした。以下の写真はその一部です。


いろいろな鳥の卵 右下の青っぽい斑模様の卵はカラスの卵ではじめて見ました。他もはじめて。

いろいろな鳥の剥製と卵

托卵する鳥の卵(同じカッコウの卵でも宿主によって違う?)

いろいろな鳥の卵 剥製はヤマドリ、その下はヤマドリの巣と卵

ニワトリの原種セキショクヤケイ(右端)やニワトリ類の卵 ヒヨコがかわいかったです。

(撮影禁止のもの以外の今回の展示物の写真のアップはOKということでした。)


→HOME

ページのトップへ戻る