topics

                -2018年3月9日-
 恐竜の卵 
        〜恐竜誕生に秘められた謎〜
       Mystery kept in the hatching of dinosaurs


左から、大阪市立自然史博物館館長さん、トルヴォサウルス、トロオドン

 大阪市立自然史博物館特別展「恐竜の卵 〜恐竜誕生に秘められた謎〜」(3/10〜5/6) のブロガー招待に応募して内覧会を取材しました。本展は、福井県立恐竜博物館が毎年共同調査をおこなっている中国・浙江省の浙江自然博物館の協力を得て昨夏より開催し、秋から名古屋市科学館、今春に大阪市立自然史博物館が開催。これで最後だそうです。
 今回は大阪市立自然史博物館の鳥の標本や天王寺動物園のワニの標本も出演しています。

 世界的にも珍しい恐竜の卵や巣の化石がたくさんあり、産卵・営巣・世話のしかたなどが爬虫類、翼竜、鳥類とも比較されていて、進化の道すじをたどることができました。

 博物館のポーチに最近つりさげられたザトウクジラの骨格や、リニューアルされた常設展示、美しい長居植物園も見て帰りました。

 最初の説明を読み飛ばしてしまい、恐竜の名前と卵化石の名前が違っていて混乱してしまいましたが、卵化石は、その形、大きさ、卵殻の厚さや構造によって分類されて研究が進められているそうです。科の名前は「〇〇ウーリトゥス卵科」とついて、たとえば現生でないワニの化石卵は、クロコウーリトゥス卵科となるそうです。親がわかれば、〇〇ワニの卵化石?


翼竜: ダーウィノプテルス

翼竜 ダーウィノプテルス・モデュラリスの骨格 (ジュラ紀中期, 中国 遼寧省産, 浙江自然博物館所蔵)
左:メスで、卵殻の残っていない卵が2つある。中:左の一部拡大。右:トサカ?のあるオス。

ハドロサウルス類: マイアサウラ


鳥盤類 ハドロサウルス類 マイアサウラ (白亜紀後期) の動く模型

鳥盤類 ハドロサウルス類の卵の化石 (白亜紀後期,どれもスフェロウーリトゥス卵科の一種,中国産)

ティタノサウルス形類: エウヘロプス


竜脚類 ティタノサウルス計類 エウヘロプス・ツダンスキィEuhelopus zdanskyiの全身骨格
 (白亜紀前期, 中国山東省, 福井恐竜博物館所蔵)

メガロサウルス類: トルヴォサウルス

獣脚類 トルヴォサウルス・タネリTorvosaurus tanneriの全身骨格
 (ジュラ紀後期, アメリカコロラド州産, 福井恐竜博物館所蔵)

 トルヴォサウルス・タネリと非常に近縁のヨーロッパ最大級の肉食恐竜トルヴォサウルス・グルネイと同じ地層から以下の原始的な獣脚類の胚が見つかったそうです。トルヴォサウルスは、ワニのように浅く掘った穴に卵を産み、土砂や植物で卵を覆ったと考えられるそうです。


トルヴォサウルスの胚と巣
(ジュラ紀後期,ポルトガル産,福井恐竜博物館所蔵)

同じトルヴォサウルスの胚化石の頭骨部分の拡大
つぶされていて、卵殻の破片も見られる?

テリジノサウルス類


獣脚類 テリジノサウルス科の一種 (白亜紀後期, 中国浙江省産, 浙江自然博物館所蔵)

オヴィラプトロサウルス類


獣脚類 オヴィラプトロサウルス類の一種 (白亜紀後期, 浙江自然博物館所蔵)

大型のオヴィラプトロサウルス類の巣(直径約2m, マクロエロンガトウーリトゥスsp., 白亜紀後期, 中国河南省)

マクロエロンガトウーリトゥス・シシアエンシス
(白亜紀後期, 中国浙江省) 卵の長径数十cmと大きい

体内に2つの卵(矢印)を含むオヴィラプトロサウルス類
(白亜紀後期,中国江西省産,浙江自然博物館所蔵 )

体内に2つの卵(黒い)を含むオヴィラプトロサウルス類
(白亜紀後期,中国江西省産、浙江自然博物館所蔵)

オヴィラプトロサウルス類の胚(白亜紀後期,中国江西省)
長径約18cm

オヴィラプトロサウルス類の骨格と卵(同じく中国江西省)
黒い丸が卵

獣脚類 オヴィラプトロサウルス類の卵 (白亜紀後期, 中国江西省産, エロンガトウーリトゥス卵科の一種)

トロオドン類

 トロオドンは白亜紀後期に北アメリカに生息していた羽毛恐竜で、現在の鳥と最も近縁な恐竜の一種と考えられているそうです。
 長径約15cmの細長い楕円形の卵を産み、産卵期のたびに同じ巣を繰り返し利用していたことや、抱卵していたことがわかっているそうです。

 写真の巣の化石は、かたまりを掘り出して裏側からクリーニングするために下側が地表面で、裏返しになっているそうです。


獣脚類 トロオドン類 トロオドンの全身骨格と巣の化石 (白亜紀後期, アメリカ モンタナ州)

獣脚類 トロオドン類 トロオドンの生体復元模型 (白亜紀後期) 

獣脚類 トロオドン類の卵 (白亜紀後期, 中国浙江省産, プリズマトウーリトゥス卵科の一種)「鳥の卵」形 

東アジアの卵化石産地


参考: Carpenter, 1999; Jin, 2013; Paleobiology Database. 制作協力: Yuong-Nam Lee

 中国の内陸部や南部、モンゴル・ゴビ砂漠では数えきれないほどの恐竜の卵や巣の化石が発掘されていて、広範囲に複数の恐竜の巣が広がる、営巣地と呼べる産地も数多く知られているそうです。日本でも恐竜の卵の化石が見つかっていることは初めて知りました。

 アルゼンチンで数千個の恐竜卵の化石がいっしょに見つかるのに大人の骨の化石が見つかっていないという話を聞いて、その量と不思議さに驚きました。謎がいっぱいのようです。


エピオルニス

 17世紀までマダガスカルにいた大きな鳥のエピオルニスもいました。


エピオルニスの一種と卵

ヒクイドリ(左)とエミュー(右)の骨格


→HOME

ページのトップへ戻る