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ロ・ウエコ Lo Hueco
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ロ・ウエコの復元風景画は、ラス・オヤスの風景画とは、同じ湿地でも植物も違っていました。白亜紀前期(1億2500万年前)のラス・オヤスと違って当然で、ロ・ウエコは、それから約5000万年後の白亜紀後期(約7000万年前)の化石産地だそうです。また、発掘現場の様子も違っていて、泥岩層から塊を掘り出されていました。
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ロ・ウエコの化石発掘地は2007年に高速鉄道の工事中に発見された新しい産地で、中でもティタノサウルス類は何千個の遊離した骨と20組以上の複数個体の部分的な骨格が発見され保存状態もよく、ティタノサウルス類の発見現場として、ヨーロッパの白亜紀後期の古生物学的記録が残されている非常に珍しい場所だそうです。他にもワニ類やカメ類など1万点以上が採集されていても大多数がまだ研究中ということで、これからいろんなことがわかってくるようです。でも2009年には整地され、「残念ながら、現在は鉄道が整備されて、発掘調査の面影もありません」、と図録に書かれています...。
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ティタノサウルス類のマラウイサウルス(南アメリカ産出?)
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ティタノサウルス類(全長約16m?)の尾椎(尻尾の先の方)
![]() ティタノサウルス類の上腕骨 |
![]() ティタノサウルス形類の”丹羽竜”の血道弓 |
展では、ロ・ウエコのほぼ1個体分のティタノサウルス類の実物化石が並べられていました。発掘していてごろごろとこんなのが出てくると、楽しそうです。ロ・ウエコのティタノサウルス類は少なくとも2種類(がっしり型とほっそり型)がいるそうですが、学名がついて発表されるのはこれからのようです。血道弓とよばれる尾椎の下にあるV字型の骨は、以前博物館で見たマッコウクジラのV字骨を思い出させました。
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ティタノサウルス類の皮骨(楕円状と伸長した形状の2種類)
また、ティタノサウルス類は、龍脚類の中で唯一、皮骨と呼ばれる皮膚の中にできるスポンジ状の骨があるグループだそうで、ロ・ウエコでも発見され、背中の棘状の鱗があったと考えられるそうです。展では、恐竜類の皮骨の働きについて、鎧竜のガストニアやステゴサウルスの背中にある皮骨を例に、鳥のオニオオハシの大きなくちばしの体温調節機能と比較したりしてくわしく解説されていました。
展にも一部の化石が展示されていた、兵庫県丹波市で見つかったティタノサウルス類に近いティタノサウルス形類のタンバティタニス(丹羽竜) Tambatitanis amicitiae Saegusa & Ikeda, 2014 は、白亜紀前期の地層から見つかったそうで、同じような恐竜が現在のアジアとヨーロッパで、恐竜が絶滅するまで何千万年もの間生きていたと思うと、これも不思議な感じがします。
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