大阪市立自然史博物館のザトウクジラ -2017年7月14日-
Megaptera novaeangliae (Borowski, 1781) (humpback whale)
(ヒゲクジラ亜目 ナガスクジラ科) →瀬戸内海の自然
このザトウクジラは、2015年9月12日に大阪府岬町長崎海岸に死亡漂着した約7mのオスの子ども(約1歳)で、自然史博物館の学芸員と大阪自然史センターのスタッフ、なにわホネホネ団が協力して、大阪府、岬町、海遊館の職員の助力も受けて、9/13日(日)と17日の二日に分けて、解体し回収されたそうです。海の波による分解はとても速く、4日後の2回目の回収時には、クレーンで吊りさげると肉がボロボロと自然に落ちていったそうです。
今までに見たナガスクジラやマッコウクジラの全身骨格とはまったく違っていて、全体的にとてもずんぐりしてまあるく、とても長くて大きな胸びれ(前肢)が付いています。学芸員さんの話では子どもだからではなくて大きくなっても同じ体型だそうです。属名のMegapteraは、「大きな(メガ)翼」という意味のようです。
前から見ると平たい大きな口。餌を漉し取るヒゲはどのように付いているのでしょうか?
ザトウクジラの前肢の付け根の肩甲骨(イチョウの形をした大きな骨)とそれに続く上腕骨
ザトウクジラの前肢のとても長い4本の指。茶色く見えるのが骨で、軟骨や筋があった隙間を樹脂で埋めているそうです。指の骨を取り出す前にトレースして骨の位置を記録したものをもとに復元されたそうです。
骨盤の痕跡である寛骨(左下)とV字骨(中央部の下側に付いているいくつかの骨)
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組み立てた大きな全身骨格標本は見るととてもおもしろいですが、置き場所に困るようです。ナガスクジラの"ナガスケ"やマッコウクジラの”マッコ”と一緒に博物館のポーチの屋根にぶら下げるには、今のところ資金がないそうです。
(→ 2018年3月2日に、ザトウクジラの”ザットン”も無事につり下げられました。)
2017年 第48回特別展
「瀬戸内海の自然を楽しむ ~生き物のにぎわいとその恵み~」(7/15〜10/15)
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